大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡高等裁判所 昭和29年(ネ)756号 判決 1955年6月28日

控訴人(原告) 栗並喜久雄

被控訴人(被告) 国

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、「原判決を取消す。佐賀県知事が、原判決添付目録第一物件につき、昭和二十二年七月二日を買収及び売渡の時期としてなした買収及び売渡の各処分、並びに同第二物件につき同年十二月二日を買収及び売渡の時期としてなした買収及び売渡の各処分は、いずれも無効であることを確認する。訴訟費用は、第一、二審共被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述、証拠の提出、援用、認否は、控訴人において、当審証人樋口安太郎、中牟田文吾の尋問を求めた外は原判決摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。

理由

当裁判所は左に附加する外は原判決の説示どおり、控訴人の本訴請求を失当と判断するので右理由をここに引用する。

当審において控訴人が新に援用した証拠によつても、右判断を覆えすことはできない。

控訴人が主張するように本件土地が戦時召集者の所有地として不在地主の適用がないものだとしても、はた又本件土地を昭和二十一年法律第四十三号自作農創設特別措置法附則第二項に基いて買収するには、同項のいわゆる相当と認める場合に該当しないものだとしても、それ等の瑕疵は、何れも明白且つ重大とはいい難いから、取消し原因となつても当然無効とはなり得ない。

よつて、本件控訴は理由がないので、民事訴訟法第三百八十四条第八十九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 桑原国朝 二階信一 秦亘)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例